血管性認知症診断検査
- 検査対象
- 血管性認知症
脳血管障害が原因となって起こる、毎日の活動において自立を阻害するレベルの認知機能の低下が見られる、などといった病態を示す精神疾患「血管性認知症」を診断するための検査。
本人の主観および家族など周囲の人々による客観的観察により得られる情報をもとに、DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)・ICD(国際疾病統計分類)等の基準に基づき医師が問診、診察を行い診断が下される。
診断基準 DSM-5 「血管性認知症(Major Vascular Neurocognitive Disorder)」より
- A.1つ以上の認知領域(複雑性注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚-運動、社会的認知)において、以前の行為水準から有意な認知の低下があるという証拠が以下に基づいている。
- (1)本人、本人をよく知る情報提供者、または臨床家による、有意な認知機能の低下があったという懸念、および
- (2)標準化された神経心理学的検査によって、それがなければ他の定量化された臨床的評価によって記録された、実質的な認知行為の障害
- B.毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する(すなわち、最低限、請求書を支払う、内服薬を管理するなどの、複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)。
- C.その認知欠損は、せん妄の状況でのみ起こるものではない。
- D.その認知欠損は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:うつ病、統合失調症)。
- E.臨床的特徴が以下のどちらかによって示唆されるような血管性の病因に合致している。
- (1)認知欠損の発症が1回以上の脳血管性発作と時間的に関係している。
- (2)認知機能低下が複雑性注意(処理速度も含む)および前頭葉性実行機能で顕著である証拠がある。
- F.病歴、身体診察、および/または神経認知欠損を十分に説明できると考えられる神経画像所見から、脳血管障害の存在を示す証拠がある。
- G.確実な血管性神経認知障害として、以下のうち1つがある。
- (1)臨床的基準が脳血管性疾患によるはっきりとした脳実質の損傷を示す神経画像的証拠によって支持される(神経画像による支持)。
- (2)神経認知症候群が1回以上の記録のある脳血管性発作と時間的に関係がある。
- (3)臨床的にも遺伝的にも〔例:皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性遺伝性脳動脈症(CADASIL)〕脳血管性疾患の証拠がある。
- 基準値とは健常者の測定値を統計学的に処理した平均値であり、測定値は個人により差があるため「基準値=正常値」ということではありません。また基準値から外れた値は異常値と呼ばれますが、「異常値=罹患」を意味するものでもありません。ですから基準値を絶対視するのではなく、あくまでも検査の評価は医療機関の判断に委ねることが大切です。