脳脊髄液
- 検体
- 髄液
脳や脳室・脊髄のクモ膜下腔を満たす「脳脊髄液」の状態を調べる検査。
脳脊髄液は、外部の衝撃から脳や脊髄を守るほか、栄養補給や老廃物の運搬などの役割を担うため、その性状・髄液圧・細胞数・髄液蛋白・髄液糖などの変化は「脳・脊髄疾患」の診断指標とされる。
基準値
外観 | 水様透明 |
---|---|
髄液圧 | 60~180 mmH2O |
細胞数 | 5 個/UL 以下 |
髄液蛋白 | 15~45 mg/dL |
髄液糖 | 50~80 mg/dL |
クロール | 120~130mEq/L |
培養検査 | 陰性(-) |
異常値を示す疾患
クロール低値を示す疾患
混濁髄液
- がん性髄膜炎
- など
血性髄液
- くも膜下出血
- 脳内出血
- 脳動脈瘤
- など
黄色髄液
- 髄膜炎
- 脳腫瘍
- 脊髄腫瘍
- 脳炎
- など
髄液圧上昇
- 髄膜炎
- 脳炎
- 脳浮腫
- など
細胞数増加
- ウイルス性髄膜炎
- 結核性髄膜炎
- 細菌性髄膜炎
- 脳腫瘍
- 脳炎
- 視神経炎
- など
髄液たんぱく高値
- 髄膜炎
- 脳腫瘍
- 脊髄腫瘍
- 脳脊髄梅毒
- ウイルス性脳炎
- 脳挫傷
- 脳内出血
- 硬膜下血腫
- 多発性神経炎
- 多発性硬化症
- 脳梗塞
- 前庭神経炎
- ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré 症候群)
- ベーチェット病(Behcet 病)
- など
髄液糖高値
- 糖尿病
- 尿毒症
- 脳内出血
- 脳腫瘍
- てんかん
- など
クロール高値
- 尿毒症
- 慢性腎炎
- 脱水
- など
クロール高値を示す疾患
髄液圧下降
- 原発性頭蓋内圧低下症
- 重度脱水状態
- など
髄液たんぱく低値
- 甲状腺機能亢進症
- 髄液漏
- など
髄液糖低値
- 化膿性髄膜炎
- 結核性髄膜炎
- 真菌性髄膜炎
- 梅毒性髄膜炎
- がん性髄膜炎
- 低血糖
- など
クロール低値
- 結核性髄膜炎
- 日本脳炎
- 急性灰白脊髄炎
- 髄腔内腫瘍
- 低クロール血症
- 頭部外傷
- など
- 基準値とは健常者の測定値を統計学的に処理した平均値であり、測定値は個人により差があるため「基準値=正常値」ということではありません。また基準値から外れた値は異常値と呼ばれますが、「異常値=罹患」を意味するものでもありません。ですから基準値を絶対視するのではなく、あくまでも検査の評価は医療機関の判断に委ねることが大切です。